2007/10/05

有言不実行の是非

有言実行

とは、言ったことは必ず実行することである。ポジティブな意味に使われるこの言葉、実は、辞書を調べるとわかるが、

不言実行

あれこれ言わずに、やるべきことを実行すること。

をもじって作られた言葉らしい。何もいわずに淡々と仕事をすることが美徳とされる伝統を反映していて面白い。

今日はこの言葉を、ビジネスにおけるリーダーシップに当てはめてみる。有言か不言か、実行か不実行かを掛け合わせると、4つの言葉が作れる。言葉の意味は、ビジネス向けにに少し着色するが、

① 有言実行  : 宣言して、実行し、成功する。
② 有言不実行 : 宣言して、実行するも、出来なかった。
③ 不言実行  : 宣言せず、秘密裏に実行し、成功する。
④ 不言不実行 : 宣言せず、実行もせず、さぼる。

の4つが考えられる。もちろん、②や④は造語であるが、ビジネスにおけるリーダーシップについて考えるとき、この4つのタイプ良し悪し(順位)を考えると面白い。

伝統的な美徳はさておき、やはり、1番は、①の有言実行である。リーダーは、自分のやること、やりたいことを、あるときは言葉で、あるときはビジネス戦略として、組織のメンバーに提示し、コミットする。そして、それをなんとしでもやりとげることで、組織を引っ張っていく。

論外は、④の不言不実行。組織にはこのタイプの人が、ある割合いることは否めないが、何も言わず、何もしないのだから、4番は決定だろう。

難しいのは、②と③である。言葉の由来からわかるように、③は日本社会の美徳であるが、組織のリーダーにおいては話が違う。②の有言不実行の方が、③不言実行より必要なことなのである。そんなことを言うと、②は結局失敗し、③は結果が出ているんだから、③>②だろうと反論する人や、実際そうやって行動する、古いリーダーも多い。

②有限不実行

ここで言う、有言不実行とは、何もしないことではない。①と同じように、自分のやること、やりたいことを、メンバーに提示しコミットする。力の限りをつくすものの、ビジネスに100%の成功はありえず、残念ながら失敗してしまうことを指している。ことのき、リーダーは、責任をとってやめたり、戦略を再構築して、有言実行の実現に努力する。

提示した、戦略が薄っぺらいはったりなら、リーダーは責任をとって変わればよいから、組織には何のインパクトもない。むしろ組織は活性化する。

また、戦略の再構築や、努力によって、①にもっていけるなら、それはそれですばらしい。なにしろ、戦略も、達成すべき目標も、プロセスも明確になっているから、組織のモチベーションは上がるし、メンバーは、そのプロセスにおいてリーダーの思考を体験できる。なにより、潔さがあるため、結果が成功だろうと失敗だろうと、このやり方に賭けてみようと心から思えるのである。そういうリーダーの姿や戦略実行の過程において、リーダーシップが生まれれるのである。

③不言実行

一方、不言実行は、メンバーには何も言わず、裏で活動しているため、何をやっているのか全くわからない。結果が出たからいいではないかと言われても、まずメンバーがその戦略に貢献した実感が生まれない。そして、結果が出たとは言うものの、戦略に対して100%達成したのか、それとも、20%だったけれど、勝手に目標を下げたのか、区別がつかないのである。

また、成功へのプロセスが示されないため、組織の力をレバレッジすることもできないし、その思考過程が組織の知恵になることもない。成功とは、本人の自己満足。まわりから見たら、単にラッキーだった?と映るだけである。そんな人はリーダーになる資格がない。

ビジネスでは、いろいろな人にお会いするが、いまだ③を美徳と考えるリーダーが多い。企業のトップマネジメントでさえ、こういった古い手法をよしとしている人がいる。そんな企業に未来はないし、革新的なサービスが生まれることもない。

まず、宣言し、それを実行すできるよう努力する。だめなら潔く辞める。この繰り返しだけが、組織を強くするのである。

北岡豪史@オレンジの街角(www.kitaoka.biz)
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