2006/11/23

Web2.0と騒ぐ人たち (その2)

Web2.0 って騒ぐ人が増えていますね。

Web2.0と騒ぐ人たち (その1)

今日はその第2弾です!前回の復習をすると・・・・

「Webにかかわる技術、ビジネスモデル、サービスなどが、質的にも量的にも、こここ数年(2003年、2004年以降という記事が多い)で劇的に変化したことを、ソフトウエアのバージョンアップの表現になぞらえて、Web2.0と呼ぶ」

しかし、ブームのときこそ冷静に?巷で言われている説明について、少し考えてみましょう。

(2)Web2.0は企業システムでこそ力を発揮する

近年、企業が利用するアプリケーションは、クライアントサーバー型から、Webブラウザだけあれば利用できるThin型のアプリケーションに移行しつつあります。企業システムにとって、Thin型のアプリケーションはさまざまなメリットがあります。

・多種多様のPCに必要なアプリケーションをインストールし管理していくことは手間がかかる。
・企業間取引では、複数の会社のアプリケーションを動作させるのに専用機が必要。
・バージョンアップのたびにソフトを更新し、各PCの環境の違いにも配慮しなければならない。

そのかわりに、デメリットとして

・利用するたびにブロードバンド回線が必要となる。
・ローカルのアプリケーションと比較すると操作性が悪い。
・セッションが切れると、入力をしなおす必要がある。

しかし、ブロードバンドがある程度浸透し、モバイル環境でも徐々に利用できるようになり、Web2.0技術によって、Web画面の操作性は格段によくなって、セッションの連続性も保たれるようになりました。更新ボタンを押さずに、エージェントがデータをチェックしてくれるし、企業システムの最大企業Oracleだって、あらゆる製品やミドルウエアをWeb2.0ベースに作っていくじゃないか!Web2.0で、Thin型企業アプリのデメリットが大幅に向上することが期待されているわけです。

しかし、

「だから、企業システムでこそ、Web2.0 なのだ・・・・・・・・・・・・・・」

といっているのを聞くとあきれます。Oracle に買収されたPeopleSoftが、ThinベースでERPを作ったのは、もう10年も前。SAPがそれを物まねしたのも数年後。Web2.0なんて言葉のないとっくの昔に、Thinベースのアプリケーションなんて当たり前に実現されていました。サイボーズだって、あんなに元気です。つまり、技術進展にもとづいて、企業システムが発展していいくのは、当たり前のことであり、Web2.0の論議とはまったく無関係のことなのです。

企業システムは、使う人が限定された(例え世界一の大企業であっても)相手の見えるシステムです。メインフレームの時代であろうと、クライアントサーバーの時代であろうと、そしてWeb2.0ベースの技術であろうと、だれが、なんのために、どの程度使うかは、(ナレッジマネジメント等コラボレーション型のものは一部あるにせよ)ほぼ想定の範囲内。使う人がいるから、企業システムを用意するのですから、当然ですね。

これは、ロングテールが勝手コラボレーションして生み出す想定外の付加価値とは異なるものです。Web2.0は、不特定多数のメンバーに対して、標準的、革新的、汎用的、ローコストの、技術、ツール、プラットフォーム、情報、ビジネスモデルなどインターネットを通じて機会均等に提供され、想定外の価値が生み出される可能性があるからこそ、注目されているのであり、操作性向上や、デメリットの解消など一部の現象を捉えて、企業システムでのWeb2.0をうたうのはナンセンスです。

ただし、インターネットの進展は、個人を浮かび上がらせます。それはコンシューマという意味での個人だけではなく、大企業に対抗する、ネットワーク型の小企業、個人企業も意味します。そういう環境における、個人間のビジネスコラボレーションシステムを、企業システム2.0(Web2.0における企業システム)と呼ぶなら、今日の反論は意味がなくなるのかも知れません。

北岡豪史@オレンジの街角(www.kitaoka.biz)
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2006/11/13

さらばマイクロソフト

ご無沙汰してます。海外出張と仕事のどたばたで2週間ぶりの登場です。

googleが、google docs&spreadsheets をついに出しました。これは簡単にいうと、Webブラウザさえあれば無料で利用できる、ワープロと表計算ソフトです。マイクロソフトでいえば、Word & Excel。つまり、もう高いライセンスを払ってWord やExcel を買う必要はないのです。googleは、2006年3月にをwritely を買収し、過去数ヶ月spreadsheetをbeta版で提供してきたので、こうなるのは時間の問題だったわけですが、実際使ってみるとすごい。Webベースでここまでできるとは・・・・という感じですね。

まずはgoogle docs&spreadsheets行ってみましょう。

gmail のアカウントがあれば、そのままログイン。なければ作成してログインしてください。使ってみると、無料ながら結構便利。とてもすごいことが起こっていることがわかります。しかしながら、google のコメントもまたおもしろくって、あくまで低機能のワープロと表計算なので、既存のソフトウエア商品とはすみわけできる・・・の意の発言で、MSに対する気遣いが感じられます。

この商品は、はたしてそのようななんちゃって商品なのでしょうか?
私はそうは思いません!

理由1
ほとんどの人は、Wordも、Excelも最低限の機能しか使っていない。したがって、機能があまりないことはユーザにとってあまりデメリットにならない。

理由2
いつ使うかどうかもわからないのに、数万円もはらうのはばからしい。プリインストールパソコンだって結構なソフト料金。無料はやっぱり魅力

理由3
数年前のようなフォーマット論議がない。マイクロソフトの独占が生み出した唯一の社会貢献は、ワープロと表計算のフォーマットをWord&Excelでデファクトスタンダード化したこと。google docs&spreadsheets は、WordもExcelの資産もほとんど利用可能。

理由4
google docs&spreadsheets はローカルPCからのアップロード、ローカルPCへのダウンロードだけではなく、googleが提供する無料仮想空間にデータを保存できる。したがって、ユーザはいろいろな接続環境から、ひとつのドキュメントを共有できる。それに、PCが壊れてデータがなくなる心配もない。

理由5
理由4に加えて、自分が指定した相手とは、ドキュメントを共有できる。共同作業、レビューなど、プライベート、仕事でのコラボレーションに大きく貢献する。

理由6
google docs&spreadsheetsを使うには、ある程度の高速インターネットが必要。しかし、インターネットはモバイルブロードバンドへ向かっているので、ユーザはどこでもこのアプリケーションを使えるようになる。

理由7
機能なんて、使う人が増えれば向上する。それも、必要なだけの快適さで。過剰機能を作りこみ、バージョンアップで金をむしりとる商売は崩壊する。

と、どこからみても、google が言っているような、謙虚な話ではなく、アプリケーションビジネスの革命的出来事になりうると思うのです。

マイクロソフトのとる道はいくつかありますね。

・Word&Excel のローカルの快適性を訴え、価格を大幅にさげる。
まあ、どこまでやるかですが、すでにOpenOffice(すでにある無料のMS Officd 互換ソフト:インストールすれば、Word / Excel / PowerPoint などが、完全に無料にで利用できます。便利ですよ)があるので、その効果もどの程度でしょうか?

MS Office完全互換のオープンソースHPへ行く

・google とおなじアプリを無償で、提供。
その名も、Word&Excel thin (勝手に名づけました)。これも、自分たちのビジネスとカニバライゼーションするアプリに、どれだけ命をかけられるかが疑問なのと、googlのおもしろ企画を生み出すのに適したプロジェクトベース型組織に、"Theいすたぶりっしゅめんと"のマイクロソフトのが対抗できるのか疑問です。

かつて、IBMが80年代後半から90年代初頭にかけて、マイクロソフトなどの台頭とダウンサイジングで、PC市場で壊滅的な打撃をこうむったのと似てますね。まあ、ビルゲイツの引退したこの先も見ものですが、マイクロソフトの終焉を象徴しているようでもあります。

google へのリクエストもありますね。
 ・PowerPoint(viewerだけ?)も出してください。これで、ビジネスマンはたいていのことができます。
 ・もうすこし、日本語化にも気をつかってください。
 ・すでにブランドを持ってたYouTube買収なんて、普通の企業っぽいことあまりやらないでください。
 ・あの程度のこと、googleなら、簡単にできる!というのが、これまでのgoogleだったのでは?

とにかく、gmailのアカウントとって、http://docs.google.com/ 行きましょう。
そして一言、「さらばマイクロソフト」と。


北岡豪史@オレンジの街角(www.kitaoka.biz)