2008/04/29

オフィシャルハンディキャップの公正性

所属コースをもって2年。JGAのハンディキャップを取得し競技を楽しんでいる。公正なハンディキャップは、レベルの違うプレーヤーの競技をエキサイティングなものにし、どんなレベルのプレーヤーも、自分の実力相応のプレーさえすれば、他人と戦えるチャンスを作ってくれる。ゴルフが、子供から年寄りまで息の長いスポーツになることに、一役買っている。

ところが、ハンディキャップの不正取得という残念なことを耳にすることが多い。先日も、所属コースの営業担当の方とたまたま論議になり、コースとして、運営企業として、不正取得を減らすための活動を検討するほど状況は深刻のようだ。

JGAのページを追いながら、HCの公正性について考えてみよう。

まず、JGAでは、公正なハンディキャップの査定に関して以下のように定めている。

<参考:以下の囲みすべて>http://www.jga.or.jp/jga/html/handicap/about.html#01
<--------------------------------------------------------------------------------------- 「JGAハンディキャップ」とは、「JGAハンディキャップ規定」に基づいて査定されたハンディキャップを言い、「JGAハンディキャップ」を取得したプレーヤーには「JGAハンディキャップ証明書」が発行されます。「JGAハンディキャップ」は日本で唯一のオフィシャルハンディキャップです。ハンディキャップはプレーヤー自身が求めるものであり、いかなるプレーヤーも自分の技能力の完全な資料であるスコアカードを提出せずに、ハンディキャップを受ける権利は与えられていないと言うことを十分理解いただきたい。これらはすべてゴルフの精神であるフェアープレーを重んじるスポーツであり、ゴルファーはみな誠実で、故意に不正をおかす者はいないと言う基本的な考え方の上に成り立っているということです。
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ここで重要なのは、オフィシャルHCを持つ条件として、「完全な資料であるスコアカードを提出」という部分であり、意図的に提出未提出をコントロールしてはいけないことである。もしすれば、オフィシャルHCは無効となるということだ。その管理はゴルファーの良心においてのみなされているのが、ゴルフらしいと言えばゴルフらしいのだが、それが、不正を犯す原因になっているのも皮肉であり残念なことだ。

具体的な記述もある。
<--------------------------------------------------------------------------------------- 提出するスコアカードについて
公正なハンディキャップは、プレーヤーのプレーしたすべてのスコアの報告に基づいて算定されるものであり、スコアの良し悪しにかかわらず、JGAコースレーティングのあるコースなら、どこでプレーしようとも、その都度18ホールズのラウンドを終わったときは、ストローク・コントロールにより調整手直しをしたスコアを提出すべきである。

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つまり、JGAコースのプレーは、JGAコースでプレーしたすべてのスコアを提出義務があることが明記されている。マッチプレーなど特殊な競技の規定も細かく定められているが、ここでは省略する。

さて、不正HC取得には3つのパターンがある。

① 悪いスコアを提出せず意図的にHCを下げること。
 このパターンの多くは見栄のためかもしれない。シングルって呼ばれたい下手と思われたくないという気持ちは理解できる。それに、わざわざHC競技で勝ちにくくするための不正なのだから、いいじゃないかという意見もわからなくもない。しかし、月例競技はHCによってクラス分けされるし、HCを参加資格にした公式競技もある。HCを意図的に下げることは、参加資格を偽る立派な不正行為である。

② 良いスコアを提出せずに意図的にHCを上げること。
 例えば、プライベートラウンドで良いスコアを出しても提出しない。結果として、実力よりHCが多くなる。これによって、実力より下位クラスの競技に参加したり、過大なHCで競技に参加し、競技に勝ちやすくなる。①に比べて一見謙虚に見えるが、実はこれがもっとも重い不正。スコアの過小申告と同じことである。

③ 競技のスコアしか提出しない。
 これは、クラブHCの査定の名残で、多くの人は悪意はないのかもしれない。しかし、多くの月例競技をはじめとしてJGA方式のHC競技に、本来の実力とは違うHCで参加しているいるのだから、やはり不正行為なのである。

これらに関して、JGAは、ちゃんと細かい指摘をしていて、残念な現実も理解しているようだ。
<--------------------------------------------------------------------------------------- 。“ゴルファーは自分の現在のゴルフ技量を公式な標準規定に基づくハンディキャップで示す責任がある。”ということになります。したがって意図的に実力より多い、あるいは少ないハンディキャップや、または正確な自分のハンディキャップを示す努力を怠っているプレーヤーは、すべて他のプレーヤーに迷惑をかけ、競技意欲を喪失させてしまい、ゴルフの精神でいう誠実さに欠けていると言わざるを得ません。現状ではプレーの規則に対する倫理観とはかなり違うゴルファーが多いと言えます。
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ここが重要な点で、実は迷惑を受けているのは、まじめに競技に参加している他人のプレーヤーなのである。不正取得者と論議すると、そろって「それは自分の考えだから・・・」と言う。一見正しいように思えるが、JGAも指摘している通り、迷惑を受けているのは周りの真面目な競技参加者であり、その人の考え云々ではない。ゴルフの精神に反し、競技を不公正なものにする、重大な不正行為なのである。

いくつか例を挙げてみる。

例1:
①のパターンでHC下げたままにしておき、Aクラスに残る。これによって、BクラスだとローHCになるが、AクラスだとハイHCになるため、同じプレーをしても優勝の確率が多くなる。

例2:
②のパターンでHCを上げ、過大なHCで優勝や入賞確率を上げる。また、本来のクラスより低いランクの競技に出場するのでリラックスしてプレーできるため有利になる。逆に、本来より高い実力の人に割り込まれた低いクラスの人達は、場違いな凄腕のプレーヤーにビビって本来のプレーが阻害される。

例3:
③のパターンで、トータルラウンドは年間30のうち、10回程度の競技スコアを提出。この場合、JGAのHCは過去1年の平均スコアから算出される。正しく提出していれば、HCは、直近数ヶ月で再計算されなければならい。この場合、直近の調子が、通年より良いとき(例えばオンシーズンの秋)は意図的にHCを上げていることになるし、直近の調子が通年より悪いとき(例えばオフシーズンの冬)は、意図的にHCを下げていることと同じである。

そんなに大げさに思えないかもしれない。でも、もし競技に参加して、スコアを2、3打ごまかして提出して優勝したら、それは優勝といえるだろうか?数打の変動で、勝ち負けが決まる競技だからこそ、HCの不正取得が意外に影響が大きいことがわかる。

そんなに真剣にゴルフしないので・・・・そういう人もいるだろう。もちろん、ゴルフにかける熱意は人それぞれでよいのであり遊びのゴルフまで堅苦しくする必要はまったくない。実はJGAも、競技に出ない人には、慣用な発言をしている。
<--------------------------------------------------------------------------------------- ただし人によっては、自分は家族や特定の仲間とマッチプレーしかやらないから公式のハンディキャップは不要と考える人もおりますので、これらの人も含めて不誠実と言っているわけではありません。しかし多くのゴルファーは、クラブ競技や不特定の人達との競技に参加する機会を有しているわけですから正しいハンディキャップを示す責任はあると考えるべきです。JGAハンディキャップ規定では、その発給に当たって最低10枚のラウンドスコアカードの提出を義務づけていますが、何より大切なことは“自分の現在の正しいハンディキャップを示す責任”について“プレーの規則を守る”ことと同じレベルの倫理観をもつべきということでしょう。
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公正さを求めるあまりに、HC取得が堅苦しいものになっては本末転倒。JGAはそれもわかっているのだ。

なんだか堅苦しい話になったが、競技の公正論議は、不正取得をやめてもらうための一つの理由でしかない。競技に出ようと出まいと、HC取得をして、正確に自分の実力を知り、ゴルファーとしての成長を感じることは、楽しくて素晴らしいものなのだ。すべてのスコアを提出し、計算されたHCが良かろうと悪かろうと、それが自分の実力なんだと受け入れる。たったそれだけのことで、自分も一人前のゴルファーになったんだという自覚と充実感が沸いてくる。友人とのラウンドでさえ、なんともいえない緊張感が漂って、ゴルフライフをいっそう豊かにしてくれるのである。

今一度、JGAのホームページを読むことを勧めたい。

http://www.jga.or.jp/jga/html/handicap/about.html#01

北岡豪史@オレンジの街角
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