今日はアメリカンジョークのお話。
NHKの
TVで留学という番組を結構前から見ています。コロンビア大学の初級英語教育の講座の公開番組なので、英語教育番組というよりは、インターネット授業ライブという感覚でしょうか。毎回、アメリカの文化をテーマにしながら、英語の表現をブラッシュアップしていくのですが、昔から留学にあこがれてて、実現できなかった私には、海外の授業の雰囲気が感じられてとても興味深い番組です。放送時間に家にはいないので、HDレコーダーで録画して、暇なとき楽しんでます。
さて、過去の放送を見てたら「アメリカンジョーク」というのがありました。そうです、あのパーティ
ジョークというか、雑誌の片隅にふと書いてあるやつ。たぶん、ほとんどの日本人にとっては、何が面白いかよくわからないもの。それがテーマ。
内容を要約すると、
「アメリカンジョークには、いくつかの標準があり、それに従わなければならない・・・・」
例えば、「Knock Knock Joke」これは、ドア越しにノックする人(訪問者)と、ノックされる人と(その家の主)のやりとりを以下のようなフォーマットであつかうものです。
Knock, knock
Who's there? (相手の名前を尋ねる)
xxxxxx (first name を答える)
xxxxxx who?(family name を尋ねる)
名前にかけた駄洒落でおち・・・
例:
Knock Knock
Who's there?
Lettuce (野菜のレタス)
Lettuce who? (レタスが名前なら、苗字は?の意)
Let us come in.( Let us (レッタスの発音)で、lettuce とかけてる)
うーん、なるほど。まあこれをみて、笑いも標準化するところあたり、さすがアメリカ人ですね。他にもいくつか標準があり、それに従うと、アメリカの文化を理解し、英語表現が豊かになる・・・・・とのことです。
どこ国にも、笑いのフォーマットは存在しますが、日本とアメリカを比べると、アメリカンジョークの制約の方が圧倒的に強い。このことは、笑いにかぎらず、いろんな分野でみられます。
例えば、トヨタのかんばん方式は、現場が自発的に考え、創意工夫をして、需要に基づいた最適な生産をする方式ですが、アメリカ人は、それをサプライチェーンマネジメントとか、リーン生産方式として標準化し、システム化します。アメリカでは、水道の蛇口の大きさは200年前に標準化されてるそうですが(本当かな)、日本の蛇口はいまだに多種多様。東急ハンズが儲かるわけです。仕事は、いまだに上司の背中をみて・・・・という日本人も多いけど、アメリカではすぐ方法論とジョブディスクリプション。「お客様は神様です!」なんて、昔から
三波春夫も言ってるのに、今更ながらCRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)とかレスポンス経営(顧客の要求にすばやく応える)の重要性が説かれている。
これはある意味、アメリカのいいところでもあり、かわいそうなところでもあります。多民族国家で、宗教、人種、歴史感、国家感が、日本に比べると多種多様であり、わかっていることもドキュメントして方法論化し、声に出して主張しないと、コミュニケーションがとれません。バックグラウンドが違うので、規格外の笑いは、タブーに触れるリスクがあるわけです。
でもおもしろくないなぁ。グローバライゼーションの進展の中、政治、金融、IT・・・と次から次へと標準化が取り入れられるけど、ほとんどが、アメリカンスタンダード。標準化が得意なのはわかるけど、力でねじ伏せれば、反発がでるのは、イラクを見ればわかります。
では、日本人として何をしたらいいのか?
・ 標準化のいいところはどんどん取り入れればいい。
・ やみくもに反発しててもはじまらない。
・ だからといって、日本人のよさを捨ててはいけない。
・ まじめさ、責任感、チームワーク、阿吽の呼吸はむしろ生かすべき。
・ そういう日本人の考えを言葉にして世界に向けて発信する。
玉虫色だけどこれしかないのかと思う。ロングテールの時代には、このことが、政治家や大企業の経営者ではなく、個人の役割になってきます。ひとりひとりが、友人を通じ、仕事を通じ、ブログを通じて、日本人の考えを、草の根で発信することがとても大切だと思います。
アメリカンジョーク恐るべし。でも、アメリカ人にしてみれば、笑いさえも標準化せざるを得ない事情があるからやっているだけのこと。コンプレックスをもつ必要なんてありません。いいところは取り入れながら、日本の強みは何かを考えていきたい。標準化されていなくたって、笑えるよろこび。そこに日本の生きるヒントがあると思います。
最後に、欧州赴任時の同時通訳の友人Mさん(最近完全帰国)がすすめてくれた、日本的精神の可能性。赴任時やグローバルプロジェクトで悩んできたことに、解決のヒントを与えてくれました。
<参考>日本的精神の可能性
北岡豪史@
オレンジの街角(www.kitaoka.biz)